梅居洋史

筋電気刺激併用荷重立位周期的水平揺動による後期高齢者への運動効果

梅居 洋史,河村 顕治,酒井 孝文,山下 智徳

45回日本理学療法学術大会 平成22527日(木)~29日(土) 長良川国際会議場

【概要】超高齢社会を迎えて介護予防や転倒予防を目的として筋力増強が重要とされている。これまでに健常成人女性や前十字靭帯再建術後患者において水平揺動刺激と筋電気刺激を併用したトレーニングを行い著明な下肢筋力増強効果を認めた。これは,荷重立位では抗重力メカニズムで筋肉が能動的に活動し,それに逆リクルートメント特性を持つ電気刺激を併用することで,それぞれの刺激が単独では低負荷であっても相乗効果で,効率的な筋力増強効果が得られたためと考えられる。高齢者においては若年者の様な高負荷筋力トレーニングを行うことは困難な場合がある。しかし,この方法は低負荷であるため一般的な筋力トレーニングが困難な高齢者でも有効と考える。したがって,本研究では高齢者に対して揺動刺激と筋電気刺激を併用したトレーニングを行い,

運動機能の改善が可能かどうかを調べることを目的とした。

 

《学術論文》筋電気刺激による荷重立位でのハムストリングの膝伸展作用の解析

梅居洋史、河村顕治、酒井孝文、宮地 司、山下智徳、篠塚晃宏、河原由依、倉益めぐみ

吉備国際大学保健福祉研究所研究紀要第11号、25-272010.03 

 

《学術論文》高齢者に対する筋電気刺激併用周期的水平揺動刺激によるトレーニングの運動効果

梅居洋史,河村顕治

運動療法と物理療法 23(1) 34-402012.06

(概要)高齢者に対する筋電気刺激と荷重立位揺動刺激を併用した運動の効果を検討した。高齢女性10名を運動群,対照群に分け運動機能の検査を介入前,介入から12週後,介入終了時から16週後に測定した。その結果,運動群は介入により運動機能が向上し,介入終了後には低下傾向を示した。対照群は変化が認められなかった。本法は下肢筋力,バランス機能,歩行能力を改善できる可能性があることが示唆された。

 

 

宮地 司

筋電気刺激を利用したClosed Kinetic Chainにおける二関節筋作用の解析

宮地 司 酒井孝文 梅居洋史 松尾高行 河村顕治

日本臨床バイオメカニクス学会誌 30401-4042009

(概要)ADL動作のほとんどはCKCであるが、動的な動作では二関節筋の抑制、静的な動作ではCKCサイレントなどOKCと異なる特有の筋活動が見られる。またCKCにおいては多数の筋が協調して働くため個々の筋の作用を解析することは困難である。そこで個々の筋に電気刺激を加えることでCKCにおける各筋の作用を検討した。本研究に先立って膝屈曲60°のCKCの条件下ではハムストリングに電気刺激を加えると膝関節が伸展することを確認した。単関節筋は出力に関与するのに対して二関節筋は出力の方向制御に関与していると考えられる。また股関節のレバーアームが膝関節より勝るためハムストリングは膝伸展筋として作用した。

 

酒井孝文

筋張力シミュレーション解析による変形性膝関節症の歩行分析

                酒井孝文、河村顕治、宮地司

吉備国際大学保健福祉研究所研究紀要第10号、15-182009.03

(概要)本研究の目的は変形性膝関節症患者の歩行中の筋張力シミュレーションを行うことで、その歩行の特徴を明らかにすることである。対象は内反変形を伴う変形性膝関節症患者10名、比較対照群として下肢に障害を有さない健常者10名である。被験者に自由歩行を行わせ、三次元動作解析装置および床反力計にて測定した。そこから得られたデータを、筋張力解析ソフトにて解析した。筋張力データは大腿直筋、内側広筋、中間広筋、外側広筋であり、これらの筋に拮抗作用を持つ大腿二頭筋長頭、大腿二頭筋短頭において算出した。また、腸骨筋、大腰筋、大殿筋、中殿筋、大腿筋膜張筋、長内転筋、大内転筋、縫工筋についても検討を行った。結果から変形性膝関節症患者は膝関節周囲筋より、股関節周囲筋の筋張力を増大させた歩行を行っていた。つまり損傷された膝関節の機能を、股関節の筋張力を増大することで補填していると考えられた。


 

松尾高行

前十字靱帯損傷者における等速性閉運動連鎖運動時の筋出力様式

松尾高行、阿部信寛、岡田育子、河村顕治

日本臨床バイオメカニクス学会誌 Vol.25203-2072004

(概要)ACL 不全膝が等速性閉運動連鎖運動時の筋出力に及ぼす影響を解明するため、 ACL 再建術前に閉運動連鎖の等速性下肢伸展運動時の関節トルクを計測し、筋出力様式を推定した。また従来から行われている開運動連鎖での評価との関連を検討した。ACL 不全膝は等速性閉運動連鎖運動時において股関節伸展トルクを増大させ膝関節伸展トルクを減少させていた。足部出力を膝関節に近い部位より足部に向かって出力させることにより、膝関節伸展トルクを抑え、よりハムストリングを収縮させて下肢を伸展する代償的な運動様式を認めた。

 

前十字靱帯再建術後患者における等速性閉運動連鎖運動時の筋出力様式

松尾高行 行岡病院リハビリテーション部理学療法科

阿部信寛 岡山大学医学部・歯学部附属病院整形外科

河村顕治 吉備国際大学保健科学部

日本臨床バイオメカニクス学会誌 Vol.27163-1672006

(概要)ACL 再建術後一年以上経過した時期に開運動連鎖(以下 OKC )及び閉運動連鎖(以下 CKC )の等速性下肢伸展筋力を測定し、筋出力様式と膝屈伸筋力の関係について検討した。対象は ACL 再建術(半腱様筋腱を使用)を施行して一年以上経過した7人(男性1人、女性6人、24.0 ± 12.2 歳)である。OKC の屈曲筋群で患側が有意に低下していた( p 0.05 )。OKC の膝伸展筋群及び CKC の各関節トルク、下肢伸展筋力に有意差はなかった。また膝角度、足部出力方向にも有意差はなかった。再建術を施行し膝機能の改善、下肢筋力の回復により健側と同様の運動様式を獲得したと考える。

 

岡田育子

体幹および足部固定姿位が下肢閉運動連鎖筋出力様式に及ぼす影響

岡田育子、河村顕治

日本臨床バイオメカニクス学会誌 Vol.23429-4332002

(概要)下肢閉運動連鎖の計測においては足関節の固定肢位は出力に影響を及ぼさない。一方、体幹の固定肢位の変化は下肢出力に大きな影響を及ぼす。体幹垂直位では最も大きな出力が得られ、このとき大腿四頭筋優位の収縮を示した。体幹前傾位では出力が小さくなり大腿四頭筋とハムストリングのバランスのよい共同収縮を示した。

 

岸田奈瑠美

筋電図と筋音図による大腿四頭筋および脊柱起立筋等尺性随意収縮の解析

       岸田奈瑠美、河村顕治、江口壽榮夫

      運動療法と物理療法 Vol.13 No.2,151-157, 2002

(概要)近年、筋の機械的活動と関連した微細振動(筋音)が広く注目されるようになってきた。本研究は、筋電図と筋音図を用いて健常若年者と高齢者の大腿四頭筋および脊柱起立筋の等尺性随意収縮の解析を行った。